第137回直木賞受賞作予想 のこと。
さてさて、今年も直木&芥川の季節となりました。
いつも「今回の受賞作はこれだぁー!」と予想はするのですが、当たったためしがないので、
その外しっぷりを書き留めておこうというわけです。
かるあ予想
◎北村薫「玻璃の天」
○畠中恵「まんまこと」
×万城目学「鹿男あをによし」
さて、なぜ北村薫氏を本命に選んだかというと、東野圭吾氏受賞の時と同じ香りがするから。
さんざん受賞を逃したあげく/ミステリーの/シリーズ作を/文藝春秋刊で、というところが。
単純かしら。でもこの人の話、ほんとにいいのよ。ものすごく私情を入れての本命予想です。
そして畠中氏ですが、まず文藝春秋刊てとこでアドバンテージ。そして、内容にけちがつけられにくい。ということで、京極夏彦に続く妖怪小説受賞を目指していただこうと。
大穴が万城目氏なのは、各紙新聞書評でけっこう取り上げられていたので、その手の人に受ける文章なのかなぁという読みで。
ちなみにほかの候補作。
桜庭一樹氏。これはないと思うのね。なぜかというと著作に「学園都市ヴァラノワール」なんかがあったりするから。ラノベ出身の直木賞受賞作家は多いですが、もうちょっとふつうの小説を発表してからじゃないと、色眼鏡の選考委員さんたちがうるさいんじゃないかと。
松井今朝子氏。本来はこの人の受賞が順当なのかなあ…でもなんか地味な印象。時代小説っていうのは直木では若干不利な気がいたしております。
三田完氏。すみません、存じ上げません。なぜエントリー?短編集だし、きっと「もう1作くらい見てみないと評価できない」みたいなコメントがついて落とされるんじゃないかしら。
森見登美彦氏。この人の作風は私に合わない、という理由だけで無印。1ページ目の「おともだちパンチ」の件でいやになってページを閉じた。たぶん渡辺淳一あたりに「男と女を描いた物語なのにエロスが感じられない」とか言われると踏みました。
さてどうなることでしょう。
ちなみに上記の作品では、「玻璃の天」しか読んでません。
芥川賞は全く予想がつかないや。でも読んだものについては短評をのせていくことにしまふ。
・川上美映子「わたくし率イン歯ー、または世界」-これだけは手に入らないのでwebの試し読みコーナーで。道内販売箇所が3箇所って…。嫌いじゃないかんじだけど、続きを読んでみないことにはどうも。たしか宮本輝先生がタイトルにうるさい人だった気がするので、きっとお小言が炸裂すると思われます。ってか私の敬愛する舞城王太郎氏がノミネートされたとき、「好き好き大好き超愛してる。」のタイトルをシンタローに「タイトルだけで読む気が失せる」と酷評された筈。それなのにこれが受賞したとしたら私が発狂するぞ。
・前田司郎「グレート生活アドベンチャー」-彼女の家に寄生するニートの話。彼女がじょじょに愛想をつかして家に帰ってこなくなったところで夏目漱石の「それから」のように実社会で生きていくことに目覚めかけるが結局目覚めてないという内容で、すごく読みやすかった。主人公がむかつく。ニートの話は前回候補の「図書準備室」でみなさん読み飽きてるのではと予想し、これの受賞はないと見た。
・松井雪子「アウラ アウラ」-この人、「おんなのこポコポン」とか書いてた漫画家さんらしいです。四度目の芥川ノミネートなのでそろそろ受賞させてあげて、という気持ちがするのですが、今作のテーマは「想像妊娠」で、川上弘美くらいしか評価してもらえそうにない選考委員の顔ぶれが気になります。あと、暗喩がちょっとみえみえな感じなのも不安材料の一つ。いい感じに病んだ世界観ではあるんですけどね。
・柴崎友香「主題歌」-芥川賞の課題として「今までにない新しい価値観を表現する」っていうのがあると(勝手に)思ってるんだけど、この作品では「女の人が若い女の子を愛好する、時には侍らしたいなんて思う」ことを取り上げております。なので、女の人が無駄にたくさん出てくる。どうもそれが冗長に思える。視点もあっちこっち飛んで読みにくい。そして意図的だと思うけどえんえんと食べるシーンばかりが描かれる。描写がていねいで細部まで描き出されているのは認めます。でも、何が言いたかったのかよくわからない小説。前回の「ひとり日和」ラインで行くとこれの受賞もありえるかもしれない。
・円城塔「オブ・ザ・ベースボール」-札幌出身ということで、なんとなく応援したい円城さんですが、SFなのですよね…。SFって芥川にはマイナス要素じゃないでしょうか。しかし言葉のセンスは抜群によい感じ。しっかりした、ぶれない文章ってところは好感度高いと思う。さて、この理系論理のバッター・イン・ザ・ライを選考委員の誰が評価してくれるか見ものであります。
・諏訪哲史「アサッテの人」-これ、最初の1ページでつまづいてなかなか読み進められなかったんだけど、5ページくらい読んだら面白くなった。候補作の中で文章が抜群にうまい。吃音持ちだった叔父が正常な言葉を取り戻すのと引き替えに、言葉の観念のゲシュタルト崩壊を起こしていくさまを、叔父の失踪後残された手記から主人公が窺い知り書き留めていくという体裁の実験小説。末尾には叔父の部屋の平面図までも挿入されており、推理小説じゃないんだから…と呟きたくなる。しかし描き出されるひとつひとつのエピソードが秀逸。ずばり私はこれが芥川賞受賞と予想します。実験小説ってのがちょっとマイナスなんだけども。エレベータの中で激しくコサックダンスを踊ると停止するんじゃないかと思うけども。
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コメント
直木賞ははずれたけど、芥川賞はビンゴだったね。
アサッテの人、ちょっと読みたくなったよ。
投稿: 盆 | 2007年7月18日 (水) 01時13分
直木賞は大人の事情を多分に考慮しないと当たりませんからねえ。まだまだ勉強が足りなかったです。
「アサッテの人」、ほんとうによかったよ。構成がすごくいい。次作以降も楽しみな感じです。
とりあえず片方だけでも当たってよかった。次回も余裕があれば予想していきたいです。
投稿: かるあ | 2007年7月18日 (水) 12時44分